この記事の目次
電力を表す式
まず、電力の式がどういった形で表されるか解説します。
次の図のように、発電所から工場へ送電するところを考えてみましょう。

図1では、送電線に実際に途中に抵抗が入ってはいませんが、抵抗として表現しています。
これには次のような理由があります。
送電線自体も銅でできてるため少し抵抗があり、それが距離が長くなることでさらに抵抗値が大きくなります。
この送電線の合計した抵抗値をまとめて表現しているのが、図1です。
このまとめて、抵抗やリアクタンスを考える方法を集中定数といい、まとまった値で考えない方法を分布定数といいます。
図1の回路で、需要家の電力Pを表す式は、単相であれば次のように表されます。
上の図では抵抗のみを考えているので、力率が1であるので、次のように単純な式になります。
これを、Iについて整理すると次のようにあります。
この式から言えるように、電力Pが一定であるとき、電流Iは受電端電圧Vrが大きければ大きいほど反対に小さくなることがわかります。
低圧、高圧を使い分ける理由
ここで、送電時に低圧より高圧を用いた方がよい理由を解説します。
まず、電力の式は次のように表されます。
式(3)で解説したように、電力一定であれば、電圧が大きいほど電流は小さくなります。
そのため、式(4)からわかるように、送電線の抵抗値は一定なので、送電時の電力損失は、リアクタンスなどその他のパラメータを無視して考えると、電流の2乗に比例します。
式(3)、(4)を合わせて考えると、送電電圧を大きくすればするほど、それに伴って送電電流が小さくなり、結果として送電時の電力損失を低減できることがわかります。
混乱しやすい箇所
しかし、よく混乱しやすいこととして、オームの法則は式(5)のよ、R一定であれば、VはIに比例するはずだから、Vを大きくすればIも同様に大きくなるのではと思われるかたもいるかもしれません。
これには、ちょっとした勘違いが原因になっています。
初めの図1でオームの法則を適用すると、次の式で表されます。
式(6)を見ると、オームの法則は、抵抗の両端にかかる電位差でみています。
なので、たとえVsを大きくしても、抵抗による電圧降下は小さくなり、電位差は、Vsが小さいときに比べて小さくなります。
さいごに
今回は、電力が一定であれば、どうして電圧を大きくすると送電線の電流は小さくなるのかという疑問に答えました。
ちょっとした電気の疑問ですが、いざ考えてみると意外と奥が深かったりするものですね。
この記事は、YouTube動画にもしていますので、興味のあるかたはそちらも見てくださいね!