こんな悩みを解決します。
- CTはどういう役割があるか
- CTの接地を付けないとどうなるか
この記事の目次
CTとは
CT(Current Transformer)は高圧回路の電流を、計器や継電器が扱いやすい電流値になるように小さくするための機器で、キュービクルや特高設備に取り付けられてます。日本語では計器用変流器といいます。
外形は次のようなものが多く、接続されている場所は電路の途中です。丸いカバーの中にトランスが入っていてこれで変流しています。
一次巻線N1と二次巻線N2、一次電流 I1と二次電流 I2の関係は次のようになっていて、一次巻線N1に対して二次巻線の巻き数N2を増やすことで、二次電流の値 I2を小さくすることができます。
反対に二次側を開放してしまうと一次側より二次側の電圧は高くなるため非常に危険ですので、絶対に二次側は開放してはいけません。電気の保安管理でやってはいけない危険行為は次の記事でまとめていますので、あわせて読むといいでしょう。
悩む人 電気主任技術者として、保安管理してるけどやってはいけないことって何がある? こんな悩みを解決します。 この記事の内容 保安管理でやってはいけないこと 大事故につながる行為 電気保安[…]
CT二次側の接地
CTのような一次側を高圧に接続する計器用変成器の二次側には設置工事をするように電技の第12条に接地工事で定められています。
接地の種類は高圧計器用変成器の二次側電路にはD種設置工事、特別高圧計器用変成器の二次側電路にはA種接地工事を施す必要があります。低圧の計器用変成器については接地工事は不要となっています。(電気設備の技術基準の解釈27条)
A種接地の接地抵抗は10Ω以下、D種接地の接地抵抗は100Ω以下と決められているので、この値になるように接地極を設けなければいけません。特別高圧用計器用変成器の方がA種接地と接地抵抗が小さくしなければならないのは、万が一事故が起きた際に特別高圧の方が、高圧よりも大電流が流れるため、より接地側に電流を逃がせるようにするためです。
接地の種類をまとめたのが次の表です。
CT二次側に接地をつける目的
万が一、計器用変成器の一次側と二次側が混触すると、二次側にも高電圧・高電流が発生します。
このとき、CTの二次側に接地をつけていないと、感電したり、計器類を壊してしまう恐れがあります。
CTの二次側に接地をつけるのはこのように、一次側と二次側が混触した際に、人や計器を守るためなのです。
CTの二次側接地の回路図
CT二次側の結線を表すと次のようになります。
接地をつける方は共通になっていることが多いため、どれか一つに接地をつければもう片方はつける必要がありません。ただし、接地を付ける方が回路的に共通になっていない場合はどちらにも接地をつける必要があるため、確認が必要です。
実際は端子台をいくつか経由しているので、よく経路を追わないと設置しているかわかりづらいこともあるでしょう。
CTの接地がないとどうなるか?
では、CT二次側の接地が無いと実際にどういった事故が起きるか見ていきましょう!
CTの二次側に接地が無い状態であれば、二次側に流れた電流が行き場がないため、CTの一次側と二次側が混触した時に感電や他の機器の故障に繋がることがあります。
CTの二次側に接地を付けていると、接地に電流を流すことができ感電や機器の故障を防ぐことが可能です。
ただし、接地を付けているから安全というわけではないので絶対に触らないようにしましょう。
さいごに
CTの二次側は一次側と二次側が混触したときの保険で接地を設けなければなりません。
接地工事をしていないと万が一の際に大事故になりますので、普段から点検の際に、接地を設けているか確認しておきましょう。