この記事の目次
漏電箇所を特定するまで
工場などで電気を止められない場合、漏電を見つけるのは意外と難しいです。
そんな中で、私が漏電を見つけた方法を教えます。
漏電を見つける方法はいろいろありますが、詳しく説明されている記事は少ないので参考にしてください。
漏電火災警報器で警報が出ているのを確認
まずは、漏電を発見した方法です。
いつものようにキュービクルの月次点検を行っていたところ、下の絵のように漏電火災警報器に警報が出ているのを発見し、漏電が発覚し調査開始。
漏電火災警報器は、工場など停止させたくない設備でブレーカー遮断せずに警報器で知らせてくれる機器になります。
漏れ電流が発生している主幹ブレーカーの特定
漏電がおきている主幹ブレーカーを特定するために、用いるのが電流値を測定できる電力計です。
データロガー付きの電力計を用いることで、データを保存できるため1週間分くらいの電流の変化をまとめて集めることができます。
電灯系統の変圧器の2次側から4つの主幹ブレーカーに繋がっていて、その中のどれかから漏電していますので特定します。
電灯用主幹ブレーカーにはプラス、マイナス、アースの3本のケーブルが繋がっており、3本まとめてケーブルを挟むことで行きと帰りで打ち消し合うため、漏れ電流があるとその差分が漏れ電流値として測定することができます。
実際に漏れ電流を測定するために、電力計をつないだ様子を表したのが下の絵です。
この測定データを1週間分ほど取ったところ、4つのうちの1つから数A流れている場所があり、漏電している主幹ブレーカーを特定できました。
主幹ブレーカーが向かっている分電盤を特定
キュービクル内の主幹ブレーカーを特定できたら次は、その主幹ブレーカーから出ているケーブルがどこの分電盤に向かっているのか調べます。
基本はケーブルにどこの盤へ向かっているか書いていることが多いですが、行き先が書いておらず、どこへ向かっているかわからない時に大活躍するのが「ラインチェッカー」。
ラインチェッカーを用いることでケーブル同士が繋がっているか調べることができます。
実際にラインチェッカーを使う時は次の絵のように使用します。
- キュービクル内で信号発信用ラインチェッカーを取り付ける。
- 主幹ブレーカーの行き先である分電盤で受診用ラインチェッカーをあてると「ピッ、ピッ!」と音がなり、繋がっていることを確認できる。
子ブレーカーの漏電箇所を特定
分電盤を特定できたら次はどの子ブレーカーから漏電しているのか特定します。
ここでもデータロガー付きの電力計が大活躍。
キュービクルの時と同様にクランプをプラス、マイナス、アースを3本まとめて挟むことで漏れ電流を測定します。
この状態で、電流値を1週間ほどデータを取ったところ、数Aほど流れている時間帯があるケーブルを発見。
これで子ブレーカーからの漏電箇所も特定できたため、次はいよいよ漏電している元を見つけていきます。
漏電している機械を特定
漏電している機械を見つける最も簡単な方法は、その機械の電源を入れたときに漏電が発生するか見る方法です。
下の絵のように、漏電していると特定できた子ブレーカーに繋がっている機械を1つ1つ電源をオフからオンにしてみます。
この方法で、オフからオンにした際の電流の変化を見て、機械の1つに漏れ電流が流れていたため、その機械が漏れ電流の原因と特定できました。
機械本体の漏電原因を調べる
今回は漏れ電流の値が数A程度と大きかったため、コンセントの配線ミスが考えられました。
そこで、コンセントのカバーを取り外して配線を調べました。
コンセントの配線の調べ方は、次の手順で行います。
- 電源に繋がずに、機械の電源を入れる
- この状態で、コンセントのプラスとアース、マイナスとアースの抵抗値を調べる
- 正常な配線であれば、コンセントの電源とアースの抵抗値は0.1〜1MΩはありますが、この時は抵抗値はほぼ0で短絡状態となっていました
- 電源とアースが0Ωとなることから、配線ミスをしていることが確定
この方法で調べて、下の絵のようにコンセントの配線が間違っていたため、次は配線を正しく状態に修理していきます。
機械の修理
コンセントの配線ミスが発見できたため次の方法で配線の修理を行います。
- 間違ってアースに繋がっていた電源をもとの電源側に付け替えます。
- 機械の電源を入れた状態で電源のプラスとマイナスを測定して抵抗値が0Ωであれば正しく配線されています。
最終の漏電確認
配線を直し終わったら、機械を使用してみましょう。
機械を使用して、漏電火災警報器で漏電が出ていなければ、修理できていることになります。
最後に
漏電は下手したら死亡事故につながるため、漏電を見つけるのも電気主任技術者の大事な仕事です。
見つけ方にもいくつか種類があり、今回紹介した方法はその一つですので、参考にしてください。最後に今回紹介した手順をまとめておきます。
- 漏電火災警報器で警報が出ているのを確認
- 漏れ電流がある主幹ブレーカーの特定
- 主幹ブレーカーが向かっている分電盤を特定
- 子ブレーカーの漏電箇所を特定
- 漏電している機械を特定
- 機械本体の漏電原因を調べる
- 機械の修理
- 最終の漏電確認