木質バイオマス発電のデメリット・メリット

 
悩む人
木質バイオマス発電って最近よく聞くけどどんなものかイマイチわからない?
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そもそも木質バイオマス発電とは

この記事を読んでいる人の中には、木質バイオマス発電という言葉自体、初めて聞いたというかたもいるかもしれません。

木質バイオマス発電とは、近年話題になることも多い再生可能エネルギーの1つです。これは、木材をエネルギー源とする発電方法で、石炭火力などと違い現在生えている木材を使用します。化石燃料に由来しないため、カーボンニュートラルの実現が可能になります。

この木質バイオマス発電は日本でもまだ珍しいが、私はこの方式の発電所に建設から運営まで携わっていた経験があります。この経験をもとに木質バイオマス発電についてのメリットとデメリットを説明していきます。

木質バイオマス発電の世界各国の状況

木質バイオマス発電は主にヨーロッパで進んでおり、その中でも、デンマーク、ドイツ、スウェーデンの割合は高くなっています。日本は再生可能エネルギーの促進が遅れており、まだまだ低い発電量のままです。これは、法整備の面でヨーロッパに比べて遅れていることも原因の1つとなっています。[1]

引用:自然エネルギー財団、世界の電力、https://www.renewable-ei.org/statistics/international/、(2023/4/30閲覧)

木質バイオマス発電の問題点

まずは、木質バイオマス発電をやることによる問題点・デメリットはどんなことがあるか、見ていきましょう。

騒音問題

発電所は周囲に森林の多い静かな田舎町に建てることが多いです。普段静かな場所な分、発電機の振動や騒音が目立ちやすい環境にあります。騒音・振動対策にはあらかじめ十分に考慮して設計を行う必要があります。それでも、近隣住民から苦情が入れられることは多々ありますので、理解してもらえるよう努力しなくてはなりません。

安定稼働が難しい

技術的にはそれほど目新しくはありませんが、燃料に木材を使っているという特性上、品質にばらつきがでてきます。主には、このばらつきなどによってなかなか安定的にエネルギーを取り出すことが難しいです。そのほかにも、粉塵によってセンサーがダメージを受けるなどトラブルが多いです。バイオマス発電が普及し始めてまだ年数が浅いため、これからこういった課題を解決していく必要があります。

粉塵問題

バイオマス発電では原木を、ペレットやチップにして使用します。その際に、粉砕するため多くの粉塵が発生します。また、チップとして用いる場合は、使用できる大きさが決まっていたりするため、粉塵や細かいチップを貯めておく場所が必要になります。このロス分が量が多いと、さらに粉塵が舞いやすくなるので、周辺に飛散しないような対策が必要となります。

凝縮水の発生

木から発生した木質ガスにはタールやその他の不純物が多く含まれています。その不純物は、燃料として使用する前にガスを冷却することで、凝縮水として取り出します。この凝縮水が1日で数百リットルほど発生します。しかも、この凝縮水は99%は水ですが1%は有害なタールが含まれているので、普通には処分できません。現在のバイオマス発電では、希釈して海へ放出・チップへ噴霧して熱処理するなどさまざまな方法で処分していますが、いずれも最善とはいえません。この凝縮水の処分方法も建設前にあらかじめ決めておきましょう。

利益を出すのが難しい

現在、木質バイオマス発電では固定価格買取制度で40円/kWという一般の電気より高額で国が電気を買い取っています。しかしながら、この値段でも利益を出すのはなかなか難しいのが現状です。この原因は大きく2つあります。

1つ目の原因は、木質バイオマス発電機の多くを海外から輸入に頼っていることにあります。仲介手数料や輸送費で発電機が割高となるため、採算がとりづらい状況にあります。

2つ目の原因は、トラブルも多いためメンテナンス費がかさんで採算が合わなくなることもあります。今後、国内で発電機を作成する・運転後のトラブルの発生を少なくすることで、利益を生みやすい事業になるでしょう。また、国による税制優遇措置も利益を増やし、事業を広める上で有効な手段です。

木質バイオマス発電をするメリット

では、木質バイオマス発電をやることによるメリットはいったいどんなことなのか、いくつか説明していきます。

地域の林業が活性化

木質バイオマス発電では生の木材を使用します。しかも、間伐材などの建築材としては使用できない未利用材を利用するため、林業家さんにとっては木材を最大限に利用でき嬉しい限りです。そのため、生木を扱う林業が活性化していきます。ただし、最近ではバイオマス事業が増えてきて未利用材の利用が増えており、建築材よりも値段が高騰するという本末転倒な事態が発生しています。これも法整備を進めて状況を改善していく必要があります。

雇用の創出

林業で雇用が生まれるだけではなく、発電所を運営する従業員や、発電所の建設で雇用が生まれます。地方では仕事が少なくて困っている場合も多いので、雇用が生まれて地域が活性化します。

話題になる

木質バイオマス発電は日本ではまだ珍しいため、発電所があるだけで地域での話題になります。発電所ができると見学者などもよく来るためそれによっても収益を上げることができます。

地球温暖化防止に貢献

生の木を使っているため、木が吸収する二酸化炭素量と排出する二酸化炭素量が等しくなります。そのため、実質カーボンニュートラルの考え方ができるため地球温暖化防止になります。

最後に

木質バイオマス発電は、利益の上げづらい事業ですが、地域活性化・SDGsの観点から見ても今後明るい未来を作るには必要な事業だと思います。現状課題は多いですが、一つ一つ解決して日本に木質バイオマス発電が広まっていけばいいと願っています。

参考文献

[1]江藤寛子他、欧州と日本における木質バイオマス利用促進政策の比較、日林誌(2010) 92:88-92

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