- 直流電動機の構造
- 直流電動機の動作原理
- 直流電動機の特徴
- 直流電動機を使った過去問の解き方
この記事の目次
直流電動機の構造
直流電動機には回路の接続方法がさまざまありますが、その中の分巻方式を例に構造を説明していきます。
分巻方式直流電動機の構造を図で示したのが<図1>です。
それぞれの役割は次のようになります。
界磁巻線:直流電流を流すことで固定子鉄心を磁化します。
固定子鉄心:界磁巻線に流れる電流によって、磁化されます。
電機子巻線、回転子:直流電流が流れてローレンツ力によって回転します。
整流子:整流子によって回転子が回転しても回転子に流れる電流方向が変わらないため、同じ方向に回転力を得ることができます。
ブラシ:整流子に接触しており、直流電流を供給します。しかし、摩耗するため定期的に交換する必要があります。

分巻方式直流電動機の等価回路を<図2>に示します。
界磁巻線抵抗や電機子巻線抵抗はそれぞれの巻線の銅線の抵抗などによって生じる抵抗値を等価的に表現したものです。

直流電動機の巻き方はその他にもいろいろな種類があり、<図3>が巻き方の種類です。
複巻直流電動機は直巻きと分巻きを組み合わせた方式です。

直流電動機の動作原理
直流電動機はフレミングの左手の法則で回転します。フレミングの左手の法則を式で表すと次のようになります。
\(\mathit{F}\) = \( | \vec{I} | | \vec{B} | \)\(\mathit{l}\) \(\sin\)\(\theta\)
F:ローレンツ力[N]
I:電流[A]
B:磁束密度[T]
l:導体長さ[m]
ではこの式を直流電動機の図に当てはめて考えてみましょう。図で各要素を表したのが、<図4>になります。
左手で磁束密度B[T]にあたるのが人差し指、電流I[A]にあたるのが中指、ローレンツ力F[N]にあたるのが親指です。
\(\sin\)\(\theta\)は電流に対して磁束密度が垂直な成分がローレンツ力にかかわるためです。

直流電動機の整流子は真ん中で2つに分かれています。このことに回転子に流れる電流が常に同一方向になるためローレンツ力も常に同じ方向に働きます。これにより、回転子は同一方向に回転し続けることができます。しかし、<図5>のように整流子の分かれ目では、ブラシと接触しなくなるため電流が一時流れなくなります。しかしながら、慣性の法則により回転して再び整流子とブラシが接触し電流が流れるためローレンツ力がまた加わります。

直流電動機の特徴
速度制御が容易で精度が高い
直流電動機は回転速度とトルクを独立に変化できるため、電気子電圧を変えて簡単に速度制御ができます。
電池などで稼働ができるため持ち運び可能
直流電動機は直流で動かすため電池で動作可能なため、持ち運んで動かすことができます。
直流電動機の過去問
(問)ある直流分巻電動機を端子電圧 220 V,電機子電流 100 Aで運転したときの出力が 18.5 kWであった。この電動機の端子電圧と界磁抵抗とを調節して,端子電圧 200 V,電機子電流 110 A,回転速度 720 min−1で運転する。
このときの電動機の発生トルクの値 [N⋅m]を求めよ。
(解)<図Ⅰ>を使って説明していきます。

端子電圧 V=220 [V],電機子電流 Ia=100 [A]で運転したときの出力 P=18.5 [kW]であるから,逆起電力 E [V]は,
\(\mathit{E}\) =\(\frac{P}{I_a}\)
=\(\frac{18.5×10^2}{100}\)
=185 [V]
となる。このとき,
\(\mathit{V}\)=\(\mathit{E}\)+\(\mathit{R_a}{I_a}\)
220=185+\(\mathit{R_a}\)×100
\(\mathit{R_a}\)=\(\frac{220-185}{100}\)
=0.35 [\(\Omega\)]
となる。端子電圧と界磁抵抗とを調節して,端子電圧 V’ =200 [V],電機子電流 I’a=110 A,回転速度 N’=720 min−1としたときの逆起電力 E’ [V]は,
\(\mathit{E}\)\(\,\)’=\(\mathit{V}\)\(\,\)’ー\(\mathit{R_a}{I_a}\)’
=200ー0.35×110
=161.5 [V]
となるので、出力P\(\,\)’ [W]
\(\mathit{P}\)\(\,\)’ = \(\mathit{E}\)\(\,\)’\(\mathit{I_a}\)’
= 161.5×110
=17765 [W]
となる。このときトルク\(\mathit{T}\)\(\,\)’ [N・m]は、
\(\mathit{T}\)\(\,\)’ = \(\frac{\mathit{P\,’}}{\omega}\)
\(\mathit{T}\)\(\,\)’ = \(\frac{\mathit{P\,’}}{\large{\frac{2\pi\mathit{N}\,’}{60}}}\)
\(\mathit{T}\)\(\,\)’ = \(\frac{60\mathit{P\,’}}{2\pi\mathit{N}\,’}\)
\(\mathit{T}\)\(\,\)’ = \(\frac{60×17765}{2\pi×720}\)
\(\fallingdotseq\) 236 [N\(\cdot\)m]
と求められます。
参考文献
これだけは知っておきたい電気技術者の基礎知識、電気書院、大崎輝夫・山崎靖夫(共著)
電気機器・パワーエレクトロニクス通論、電気学会、深尾正 著