低圧幹線の施工方法アイキャッチ

低圧分岐回路の施設方法

悩む人
幹線から分岐させて電源を取りたいけど、決まりとかあるの?
筆者
この記事を読めば、低圧分岐回路の施設方法を理解できます!
電気工事では必須の知識ですので、きちんとマスターしましょう!
低圧分岐回路とは、そもそも何なのかわからない方のために説明しておきます。
次の図のように、キュービクルなどから幹線を引っ張って、そこからいろいろな負荷へ電力を供給する場合に、幹線から何本か枝分かれさせている回路を「低圧分岐回路」といいます。
低圧幹線分岐のイメージ
低圧幹線分岐のイメージ

低圧分岐回路の施工方法

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施工方法

低圧分岐回路の施工方法は、電気設備技術基準・解釈 第149条で、定められています。

低圧分岐回路の施工方法について、次の図を使って説明していきます。

低圧分岐回路の施工方法
低圧分岐回路の施工方法
低圧分岐回路の施工方法のポイントは、次にあげることです。
低圧幹線回路の施工方法のポイント
  • 低圧幹線から分岐した電線には過電流継電器を取り付ける。
  • 基本的には、低圧幹線から分岐回路の過電流遮断器までの距離L[m]は3m以内にする。

3mを超える場合は次の条件を満たすように、施工する。

  • 3m<L≤8mのとき、電線の許容電流Iwが低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流IBの35%以上にする。
  • 8m<Lのとき、電線の許容電流Iwが低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流IBの55%以上にする。

ただし、注意として負荷に電動機がついている場合は、また別の考え方で許容電流値を求める必要があります。

川で考えてみよう!

幹線からの分岐を川に例えるとわかりやすいので、次のイラストを使って、川で考えてみましょう。
低圧分岐回路のイメージ
低圧分岐回路のイメージ
まず、幹線が一番川幅が広い川とします。そこから、何本か川が分岐としています。
分岐した川には、それぞれ水門があり、これに対応するのがブレーカーです。
川が長くなるほど、川幅も、より太くし、たくさん水を流せるようにします。
つまり、電線でいえば、長さが長くなるほど、電線を太くして許容電流値を上げる必要があるということです。
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施工方法の応用

先ほど、説明した分岐回路の施工方法を応用して、次の図のように徐々に電線の太さを細くしていくこともできます。

ただし、反対に電線が太くなっていく施工方法は、元の電線のほうで許容電流を超えてしまう恐れがあり、やってはいけませんので、注意してください。

施工方法の応用
施工方法の応用

低圧分岐回路の問題例

続いて、低圧分岐回路の電気工事士筆記試験の問題例を解説していきます。

低圧分岐回路の問題パターン

低圧分回路の問題では、変数がIB[A]、IW[A]、L[m]の3つありますので、主な問題のパターンは次の図で示すようになります。

主に、IB[A]、IW[A]、L[m]のうち2つが与えられていて、与えられていない1つの変数を求めるというパターンです。

低圧分岐回路の問題パターン
低圧分岐回路の問題パターン

応用として、求めたIw[A]から適当な太さの電線を選ぶという問題のパターンもあります。

その場合は、電線の太さと、許容電流値の書いた表があたえられますので、その表に対応させて適切な電線の太さを選びましょう。

実際の施工では、電線の種類、芯数、電線太さで許容電流値が変わってきますので、その都度確認が必要です。

低圧分岐回路の過去問題

実際に過去問を解いてみましょう!


第2種電気工事士筆記試験 令和元年下期 問9より

(問)図のように定格電流50Aの過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して、7mの位置に過電流遮断器を施設するとき、a-b間の電線の許容電流の最小値[A]は。

(解)本問では、前に説明した3m<L≤8mに該当します。

このため、電線の許容電流Iwが低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流IBの35%以上にする必要があります。よって、

IW=IB×35%
    =50×0.35
    =17.5[A]

となり、許容電流は17.5[A]と求まります。

さいごに

今回は、低圧幹線の分岐について、解説しました。条件がいくつもあり、少し難しく感じるかもしれませんが、イラストでイメージと一緒に覚えればそれほど難しくないと思います。

実際に分岐回路を施工する際も、この記事を参考に正しい施工を行ってください。

 

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