- 火力発電所の制御方式
- 火力発電所を始動・停止する時の注意点
この記事の目次
火力発電
従来は、ベースロード用で用いられてきた火力発電所だが、近年は原子力や再生可能エネルギーの普及によって、出力を制御しての運転が一般的になってきています。また、他にも次にまとめた理由から出力制御が必要になっています。
- 大容量原子力の普及
- 再生化可能エネルギーの普及
- 昼夜間の電力需要差が増大
主な出力制御方式
ボイラ追従制御方式
ボイラ追従制御方式は次の図のように表さられ、ボイラマスタ調節器で蒸気圧力の変動を検出し、燃料、空気、給水量を制御します。
主に、この方式はドラム式ボイラに多く用いられています。

メリット:負荷指令に対して、ガバナ弁の開度を変化させるため、出力の変動が早い。
デメリット:圧力変動した後にボイラ側が追従するので、蒸気圧力・温度の変動が大きい。そのため、超臨界ボイラのように、流体・エネルギー保有量の小さいボイラでは、負荷変動が大きいと制御ができなくなる。
タービン追従方式
タービン追従方式の系統図は次のようになります。負荷指令に対してボイラ入力が応答して制御します。
主に使用されるのは、貫流ボイラの制御です。
メリット:負荷指令に対してボイラ入力を制御するので、ボイラが安定する。
デメリット:蒸気圧力が変化してからガバナ弁を調整するので、時間遅れを伴い負荷追従速度が遅い。
変圧運転制御方式
ガバナ弁を開放したまま、蒸気圧力を変化させて蒸気流量を調整する方法です。
蒸気圧力低下のため、サイクル効率は低下するが、次に示す効果により総合的な熱効率は定圧運転と比較して、1%前後向上します。
ガバナ弁の開け閉めによる損失がない
ガバナ弁を常に開けた状態で、負荷が変動すると蒸気圧力を変化させてボイラの出力を調整します。
そのため、ガバナ弁の開け閉めによる損失が少ないのが特徴です。
再熱温度が高温にできるため、効率が高い
蒸気圧力が一定で制御する定圧運転では、負荷が減るとボイラの排熱温度が低下し、排熱を利用する再熱プラントでは効率が低下します。
一方で、ガバナ弁が常に開放なため、蒸気温度を高温に維持できます。そのため、排熱温度も高温になり、排熱を利用する再熱プラントでは効率が高くなります。
部分負荷でボイラの給水動力が低下するため、プラント効率が上がる
定圧運転では、ボイラに供給する水量がほぼ一定のためポンプの出力は一定であるため、負荷が低下しても効率は変わりません。
一方で、変圧運転では、負荷が低下するとボイラに給水するポンプの出力が低下し、ポンプに使う分のエネルギーを抑えられてプラント効率が上がります。
頻繁に停止・始動する際の注意点
需要に合わせた停止・始動を繰り返す場合、始動効率を向上させたり、スムーズな始動をできるようにする必要があります。
ボイラ厚肉部の温度管理
ボイラでもっとも熱の影響を受ける厚肉部はドラムや管内です。
この部分においては、上下・内外の温度差を極力小さくし、熱応力の影響を小さくします。
過熱器・再熱器の温度調整
始動時に蒸気流・ガス流が過熱器・再熱器内で偏りがあると、冷却効果が十分に機能せず管内の損傷につながります。
特に再熱器は起動するまで、蒸気の流れがないことから温度が上昇しすぎないように注意が必要です。
タービンローターとケーシングの伸縮差に注意
始動間もないときは、タービン金属がまだ熱く蒸気温度の方が低いため、タービンローターに蒸気が当たると金属が冷やされます。
これにより、ケーシングとタービンローターの金属の伸縮差が増大し、接触すると大事故につながります。事故を防ぐためには、温度管理をし、伸縮差の調整が必要です。
壁が厚い部品の温度差に注意
タービン蒸気室・高圧ケーシングは容器の壁が厚いため、外側と内側で温度差が生じやすいです。
温度差が生じると、熱応力によりクラックが入ることがあるため、温度差が小さくなるように管理が必要になります。
蒸気温度の管理
始動時に蒸気温度と蒸気室金属温度(メタルマッチング)を小さくしなければ、熱応力によってクラックなどができる可能性があります。
特に、頻繁に停止・始動を繰り返す場合は、タービンが高温になっているため蒸気温度もかなり高温にすることが必要です。
さいごに
火力発電は制御の方法もさまざまあり、発電機の仕様にあわせた制御方法を選ぶことが大切です。
また、ボイラは頻繁に停止・始動する場合は、説明したようにボイラの寿命を低下させるような危険な動作が多く存在します。
今回の記事が電験を受験される方や、火力発電に従事している方の助けになれば筆者もうれしいです。