- 系統の電圧が足りない時の対処法
- 電圧が不足している原因
この記事の目次
電圧が不足する原因と対処方法
コンセントや照明に利用するための電圧が不足していると、機器の故障や寿命を縮める原因となってしまいます。
そのため、電圧が不足しているときは適切な対処をして正常な電圧に戻すのが望ましいです。
正常な電圧は次の表のようになっていて、その範囲で電圧は収める必要があります。標準電圧100[V]の場合は最低95[V]まで最大が107[V]が許容範囲です。
標準電圧200Vの場合は、202±20Vなので、最低182[V]まで最大222[V]が許容範囲になります。
標準電圧 | 維持すべき値 |
100[V] | 101±6[V] |
200[V] | 202±20[V] |
1. 漏電している場所はないか
電路の途中で、漏電が起きていると、その分使用する末端では電圧が低下してしまいます。
例えば、次の図ように漏電電流I1がある分電線に流れる電流値が多くなります。電線に流れる電流値が大きくなると、v=RIより電線の電圧降下も増えて末端の電圧が下がってしまうのです。
そのため、漏電の原因を特定し、解消することで正常な電圧に戻すことができます。
漏電の原因と対処方法は次の通りです。
- 電線が水に浸かっている
- 電線の被覆が破れている
- 電線の途中でビスが刺さっている
- 端子やコンセントに埃が被っている
- 漏電しているケーブルを特定し、ケーブルを交換する
- 水に浸からないようにする
- 埃が溜まっている箇所を掃除する
2. 電線の抵抗値が大き過ぎないか
電線が長すぎる場合や細すぎる場合は、電圧が降下が大きくなります。次の式により、電線長 l が長くなったり、逆に断面積 S が小さくなった場合は抵抗値が増えることがわかります。
それによりオームの法則 V=IRより電圧の降下量も増えてしまうのです。
そのため、電圧が低くなっている場合は、電線が極端に長く引っ張っていないか、また使用電圧に対して電線断面積が小さ過ぎないかもチェックしましょう。
3. 電力供給のバランスは取れているか
負荷が多い機器がたくさん接続されていると次の図のようにそれぞれの電流値の合計が大元の電線に流れます。
そうすると、オームの法則 V = IRより大本での電線の電圧降下も増えて、電圧が低くなってしまうことがあります。
4. 1〜3すべて当てはまらない場合、変圧器のタップ切り替えで調整
1〜3まで調べて、すべて当てはまらなかった場合、変圧器の二次側ですでに電圧が不足している可能性が高くなります。
その際は、変圧器のタップを切り替えて二次側の電圧をあげることが必要です。
タップを上げると巻数比が上がります。巻数比は次の式に示すように一次巻線と二次巻線の比になり、巻数比が増えるとより降圧されるようになります。
つまり、電圧が不足していているときはタップを下げて、それにより巻数比も下げがるので、電圧を上げることができます。
タップを切り替える方法は次の通りです。
- 変圧器の上部の蓋を開ける。
- タップナットをゆるめる。工具はナットサイズに合ったスパナまたはボックスドライバを使用し、紐をつけるなど落下防止をして作業する。
- 銘板と照合しながら、タップ切換片を希望するタップ電圧に対応した番号に接続する。
- タップナットをゆるみが生じないよう、また、諦め過ぎないように締め付ける。
- 変圧器上部の蓋を閉める。
さいごに
電圧が不足していても、対処法がわからないとどうしていいかわからず混乱してしまいますし、機器の故障につながったり、照明の寿命を縮めることにつながります。
今回の記事はある程度電圧が不足した時の対処法を網羅していますので、順番に調べていけば原因にたどり着くはずです。