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電気工事の範囲
電気工事ができる範囲は持っている資格によって異なります。それぞれの資格に応じた電気工事範囲でないと実務経験とみなされないため気をつけましょう。
各資格ごとの電気工事範囲を示した図が次のようになります。
「第二種電気工事士」は600V以下の一般用電気工作物を工事することができます。構内にキュービクルを持つ施設は自家用電気工作物ですので、工事ができません。
「認定電気工事従事者」は高圧受電している自家用電気工作物の工事を行うことができますが、電圧は600V以下の低圧側のみとなります。しかも、一般用電気工作物の工事を行うことができません。
「第一種電気工事士」は最大電力500kW未満の自家用電気工作物、一般用電気工作物の工事を行うことができます。ただし、最大電力500kW以上の需要家設備は電気主任技術者の監督が必要となります。
500kW以上の需要設備は電気主任技術者の監督下であれば、法律上は電気工事士の資格を持っていないくても工事をすることができます。しかし、実際は安全の観点からも電気工事士の資格を持った人が工事をすることが多いようです。
実務経験に必要な年数
第1種電気工事士の試験に合格した人は、3年の実務経験があれば申請することで免状を取得することができます。
申請書の送付先は、都道府県によって異なりますので、「第一種電気工事士 申請 ○○県」などで調べて探しましょう。
実務経験と見なされない工事
せっかく電気工事を行っても内容によっては電気工事の実務経験とみなされません。どんな工事が電気工事の実務経験とみなされないのか把握しておきましょう。
以下に挙げる電気工事は、実務経験の対象となりません[1]。
- 電気工事士法の定義で電気工事から除かれている「軽微な工事」
(例:600V以下で使用するスイッチや電気機器(汎用モーターなど) へのコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事など)
- 電気工事士法で別の資格が必要とされている「特殊電気工事」(最大電力500kW未満の需要設備のネオン工事及び非常用予備発電装置工事)
- 5万V以上で使用する架空電線路の工事
- 保安通信設備の工事(例:電力計からの情報を伝達するための配線工事など)
実務経験と見なせる工事
以下に示す工事は実務経験と見なされますので、免状申請の際にも書ける内容となっています。
- 電線相互を接続する作業。
- がいしに電線を取り付け、又はこれを取り外す作業。
- 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業。
- 電線管、線樋ぴ 、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業。
- 配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業。(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。)
- 電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業。
- 金属製のボッ。クスを造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業。
- 電線、電線管、線樋ぴ 、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、又はこれを取り外す作業。
- 金属製の電線管、線樋ぴ 、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付け、又はこれらを取り外す作業。
- 配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業。
【例外】電気主任技術者は保安管理でも実務経験と見なされる
電気主任技術者の免状を取得している人は、保安業務でも実務経験と見なされます。
保安業務とは、巡視や点検のことなので、実際に電気工事に従事していなくても実務経験と見なされることができます。
さらに、5年の保安管理経験があれば試験に合格していなくても、申請すれば第1種電気工事士の免状を取得することも可能です。
さいごに
第一種電気工事士に合格しても、実務経験がなければ免状をもらうことができません。
そのため、このサイトを参考に実務経験を積む方法を把握して、免状を手に入れましょう。
参考文献
[1]経済産業省、電気工事士等資格が不要な「軽微な工事」とは(2023/7/21)